2013年 年頭所感
(公社)分析化学会分析士の皆様に期待する
分析士会会長 中村 洋
はじめに
全国の分析士の皆様方におかれましては、恙無く新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
標記分析士会が昨年11月9日の設立総会(写真参照)で発足し、総会当日に承認戴いた分析士会規約(分析士会ホームページ掲載済み、http://www.lckon.org/bunsekishi/index.html)、分析士・分析士会の英文表記(表1)は何れもその後開催された(公社)日本分析化学会の11月理事会において承認されました。英文表記は分析士会のロゴマーク(図1)と共に名刺などに印刷しご活用下さい。
さて、これまでに誕生した分析士は、LC初段599名(2010年度304名、2011年度150名、2012年度145名)、LC/MS初段138名(2011年度71名、2012年度67名)の合計737名であり(表2)、本年1月中には更にイオンクロマトグラフィー初段が誕生する予定です。
分析士会は、「分析士の知識・技量の向上、並びに我が国の分析界の発展に貢献することを目的」として設立されました。
新しい年の年頭に当たり、以下に分析士会の現状をご報告し、皆様方の一層のご活躍・ご発展に分析士会を役立てて戴くことを期待しております。
分析士会の2013年度事業計画
分析士会規約第3項により、分析士会は以下に掲げる1)~5)の事業を行うこととされています。1)の総会については、本年度1月中にイオンクロマトグラフィー(IC)分析士が新たに誕生することから、役員改選も含めて総会の開催を年内に行うことを予定しております。
2)~5)は必要に応じて随時行う事業であり、会員の皆様のご意向を参考にしながら検討して参りたいと考えておりますので、ご意見を小職にお寄せ下さい(nakamura@jsac.or.jp)。
昨年中に分析士会のホームページが立ち上がりましたので、代表的なご意見についてはご本人の了解を得てホームページに掲載させて戴く所存です。
当初、会員の皆様の自由な意見交換が可能な掲示板の設置を考え、ホームページ管理者に検討して戴きました。
その結果、現状では部外者による不正アクセス等に対するセキュリティー対策に充分対応できないため、分析士会に体力がつくまでお待ち戴くことにしました。ご了解下さい。
5)その他に分類される事業については、会員相互の親睦を兼ねて、今秋に見学会を企画しますので、是非ご参加下さい。
1)総会の開催
2)講演会,討論会の開催
3)講習会の開催
4)リカレント教育の実施
5)その他
また、2013年の分析士認証試験実施計画については、ほぼ以下のスケジュールになる予定ですので、ご予定戴き周囲の方々にもお薦め下さるようお願い致します。
6月
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LC分析士四段(五反田文化会館)
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7月
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LC分析士三段(五反田文化会館他)
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8月
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LC分析士二段(島津製作所東京支社他)
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9月
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LC分析士初段(島津製作所東京支社他)
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10月
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LC/MS分析士三段(会場未定)
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11月
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LC/MS分析士二段(会場未定)
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12月
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LC/MS分析士初段(島津製作所東京支社他)
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解説書出版計画
2010年6月に行われた最初の分析士試験については、幸いにも出版社がその解説書(下記①)の出版を引き受けてくれました。しかし、通常の書籍と比較して購買部数に制限があるため、その後の解説書の出版が滞ってしまいました。昨年末、LC分析士試験とLC/MS分析士試験に関しては(公社)日本分析化学会が液体クロマトグラフィー研究懇談会の協力を得て解説書を発行することが漸く決定し、順次②、③などの解説書を出版して行くことになりました。ご利用戴ければ幸いです。
① 第1回LC分析士初段試験解説書、監修:中村 洋、編集:2010年度液体クロマトグラフィー分析士初段認証専門委員会、みみずく舎(2010).
② 第1回LC分析士二段試験解説書、監修:中村 洋、編集:2011年度液体クロマトグラフィー分析士二段認証専門委員会、(公社)日本分析化学会(2013年刊行予定).
③ 第1回LC/MS分析士初段試験解説書、監修:中村 洋、編集:2011年度LC/MS分析士初段認証専門委員会、(公社)日本分析化学会(2013年刊行予定).
分析士会の近未来図
分析士の有段者が増えてくるにつれ、LC分析士会、LC/MS分析士会、IC分析士会などに加え、それぞれの段位別の集まりも自然発生的に出来てくるのではないかと思われます。
また、分析士認証制度をさらに一般化するにはガスクロマトグラフィー、ICP分析などの分野にも分析士認証制度を拡大する必要がありましょう。
このような努力により、全国的に分析士の数が増えれば北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州などのブロック別分析士会、あるいは身近な都道府県別の分析士会の結成も夢ではありません。
その段階に達すれば、より木目細かなサービスが可能になることは無論、日本分析界の分析力が一段とアップするものと期待しております。
おわりに
上述した分析士会の近未来図は相当先の話ではありますが、『千里の道も一歩から』であり、着実に努力を積み上げていくしか手がありません。
分析士会の第一義的な役割は、分析士である皆様のご意見・ご要望を汲み上げ、自ら改善できる処は改善することにより分析士のスキルアップに貢献することでありますが、手に余る処はJSACに要望し、その実現に努力するパイプ役でもあると考えております。
分析士会をより良く、またより充実したものとするため、皆様方の積極的なご意見を小職(nakamura@jsac.or.jp)に遠慮なくお寄せ下さるよう、重ねてお願い申し上げます。
(2013年1月10日 記)
プロフィール [ 中村 洋、Hiroshi NAKAMURA ]
1968年3月東京大学薬学部製薬化学科卒業、1970年3月東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了、1971年9月東京大学大学院薬学系研究科博士課程中退、1971年10月東京大学薬学部教務職員、1973年10月~1986年9月東京大学薬学部助手、この間1974年薬学博士取得(東京大学)、1974年11月~1976年11月米国National Institutes of Health にてVisiting Fellow。
1986年10月東京大学薬学部助教授、1994年4月~2011年3月東京理科大学薬学部教授、2011年4月より東京理科大学薬学部嘱託教授、現在に至る。
現在、(公社)日本分析化学会会長、同 液体クロマトグラフィー研究懇談会委員長。