2021年10月12日開催の標記授賞候補者選考委員会において協議した結果、日本分光(株)所属の寺田明孝氏(推薦者:坊之下雅夫氏)を授賞候補者に決定した。この結果を2021年度第7回運営委員会(10月21日)に上申・協議した結果、寺田氏への授賞を正式に決定した。研究業績名は「光学活性検出器を利用したHPLCとSFCの応用開発」である。寺田氏への授賞対象となった研究業績の概要は、以下の通りである。

 寺田明孝氏は、中央大学大学院理工学研究科応用化学専攻(修士課程)を2009年3月に修了後、同年4月に日本分光(株)に入社し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)のシステム開発、広範な応用開発に携わった。特に、光学活性物質の分離・検出・分取に光学活性検出器(円二色性検出器、旋光度検出器)を活用した、HPLC、SFCに関する多くの応用例は見事である。更に、LC研究懇談会や日本分析化学会のみならず、モレキュラー・キラリティー、クロマトグラフィー科学会、SFC研究会など、様々な機会を捉えて成果を積極的に発表する前向きな姿勢は、若手研究者として頼もしい限りである。中でも、g-factorを用いたデータ解析法、高耐圧セルを装備した旋光度検出器の開発、分取法への有効利用などは、独創的な発想と着眼点に基づくものであり、多くの実験に裏付けられたデータの積み重ねは、高く評価出来る。

 又、同氏はクロマトグラフィーに対する広い見識を持ち、試料の前処理から、分離・検出、データ解析に及ぶ全操作に通じており、手法的にもLC/MS、LC/MS/MS、SFC/MS/MSなどに止まらずイオンクロマトグラフィーをも専門とする。加えて、LC研究懇談会の事業委員を務める傍ら、同懇談会編集の書籍「LC/MS、LC/MS/MSのメンテナンスとトラブル解決」などへの執筆を通して会員への最新情報提供にも怠りが無い。

 寺田明孝氏のこの様な研究業績と活動内容は、液体クロマトグラフィー努力賞授賞に誠に相応しく、今後も関連技術発展への貢献にも大いに期待が持てる。以上、同氏の実績は、2022年液体クロマトグラフィー努力賞授賞に値するものと高く評価された。

[液体クロマトグラフィー研究懇談会・委員長 中村 洋]