(公社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会は、2018年度より「液体クロマトグラフィー科学遺産」の認定事業を開始し、2年目の本年は8月末日を期限として推薦公募を行った。
 期日までに提出された推薦書を基に、2019年液体クロマトグラフィー科学遺産認定委員会で審議した結果、熊谷浩樹氏(アジレント・テクノロジー株式会社)推薦の「HP/Agilent 1100シリーズHPLC」(所有者:アジレント・テクノロジー株式会社)が液体クロマトグラフィー科学遺産第2号として認定され、9月25日開催の液体クロマトグラフィー研究懇談会第6回運営委員会において承認された。

「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、その認定に関する規定第2条に、「日本における液体クロマトグラフィーの発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す」と定義されている。
 認定第2号となった「HP/Agilent 1100シリーズHPLC」は、1995年に発売が開始され、バリデーションサポート機能をはじめとする数々の新技術、新機能が盛り込まれ、多くのHPLCユーザーに信頼性と利便性に優れたHPLC分析を提供した。全世界で60,000モジュール超を販売するベストセラーとなり、その後のHPLCシステムの開発にも影響を与えた。
 HP/Agilent 1100シリーズの主な新技術、新機能は次の通りである(1.~6.は汎用LC、7.はキャピラリーLC)。

  1. ハードウェアのバリデーション(OQ、PQ)サポート機能により、ユーザーによるバリデーションを実現した
  2. 消耗品の使用状態を管理し交換時期を告知することにより、装置状態の適切な維持を可能とした
  3. ハードウェアの自動テスト機能により、ユーザーによるハードウェアの状態の把握および不具合原因の特定を可能とした
  4. グラフィカルユーザーインターフェース採用のワークステーションにより、直感的で分かりやすい操作を実現した
  5. 高感度フォトダイオードアレイ(PDA)検出器の高感度化に成功し、PDA検出器を普及させた
  6. オンラインスペクトル採取および多波長励起・蛍光が可能な蛍光検出器を開発し、蛍光スペクトル照合によるピーク同定を可能とした
  7. フローセンサーにより実流量を計測、フードバックする電磁制御スプリッターを開発し、流量精度の高いキャピラリーHPLCシステムを実現した

このように、今日のHPLC、UHPLCシステムで標準的機能と認識されている機能のいくつかは、HP/Agilent 1100シリーズで実現されたものである。
 また、PDAの高感度化やFLDのオンラインスペクトル採取、実流量フィードバック制御によるキャピラリーLCなどは、開発当時の最先端技術を駆使して、HPLCの新しい可能性を切り開いたと言える。
 これらの先駆的な機能を有した「HP/Agilent 1100シリーズHPLC」は日本も含め世界のHPLCの発展に多大な影響を与え、液体クロマトグラフィー科学遺産に値するものと認定された。

なお、認定作業に当たったのは以下の7名である(◎印:認定委員長):
伊藤誠治(東ソー)、大塚克弘(総合環境分析)、岡橋美貴子(病態解析研究所)、橘田 規(日本食品検査)、小林宣章(東洋合成工業)、◎中村 洋(東京理科大学)、三上博久(島津総合サービス)。

2019年10月3日
液体クロマトグラフィー研究懇談会委員長 中村 洋