(公社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会は、2018年度より「CERIクロマトグラフィー分析賞」を創設し、2019年度は本年8月末日を期限として候補者の推薦公募を行った。
 期日までに提出された推薦書を基に、2019年度CERIクロマトグラフィー分析賞選考委員会で審議した結果、株式会社日立ハイテクサイエンス所属の伊藤正人氏(同社の清水克敏氏推薦)が受賞候補者に選出され、9月25日開催の液体クロマトグラフィー研究懇談会第6回運営委員会において承認された。
 「CERIクロマトグラフィー分析賞」とは、その受賞規程第2条第2項に、「液体クロマトグラフィーを利用した研究分野で優秀な研究成果を挙げた者に授与する」と規定されている。

 今回の伊藤正人氏の受賞における研究業績は、「高速アミノ酸分析計および超高速液体クロマトグラフに関する研究と開発」である。伊藤正人氏は、1986年、L-8500形高速アミノ酸分析計の開発メンバーとなり、粒径3 µmのイオン交換樹脂カラムを用いる分析法を研究し、発表した。
 その後、1997年L-8800形、2005年L-8900形、2017年LA8080高速アミノ酸分析計を順次開発した。
 一方、2006年、超高速液体クロマトグラフ(UHPLC)であるL-2000UシリーズLaChromUltra(最大圧力60 MPa)を開発した。
 次いで、2013年には当時業界最高圧力の140 MPa ChromasterUltra UHPLCシステム、およびサブ2 µm ODSカラムを開発・発表した。
 これらの研究開発過程で、理論段数、圧力と時間の3次元グラフを考案し、さらに線速度とカラム長さを加えた5つのパラメーター間の関係式を見出すことにも成功している。
 その成果は、「高速液体クロマトグラフィーの速さと分離に関する研究」と題する博士論文(2018年筑波大学)に集大成されている。

 このように、伊藤正人氏の一連の機器開発と解析研究はアミノ酸分析を通して数々の社会的貢献を果たすと共に、学問的にもUHPLC分野で顕著なブレイクスルーを実現し、CERIクロマトグラフィー分析賞に相応しいと評価された。

2019年10月3日
液体クロマトグラフィー研究懇談会委員長 中村 洋