本賞は、(公社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会が「液体クロマトグラフィーを利用した研究分野で優秀な研究成果を挙げた者に授与する」と規定する褒賞であり、(一財)化学物質評価研究機構(Chemicals Evaluation and Research Institute, Japan、CERI)の協力を得て2018年度より運用を開始した。
2020年度は、本年8月末日を期限として候補者の推薦公募を行った。期日までに提出された候補者の推薦理由書、研究業績等を基に、選考委員会(2020年年9月25日)で審議した結果、アジレント・テクノロジー(株)所属の熊谷浩樹氏(推薦者:同社の滝埜昌彦氏)を受賞候補者として選出した。2020年度液体クロマトグラフィー研究懇談会第2回オンライン(メール)運営委員会(10月8日-9日)において、選考委員長より上申された上記結果を協議した結果、熊谷氏への授賞が承認された。

 熊谷氏の研究業績名は、「HPLCシステムの高機能化による分析ラボの効率向上」である。熊谷氏は、流路切り替えバルブを組込んだHPLCシステムを自動メソッド開発システムや、マルチメソッドシステム、2次元LCシステム等種々のアプリケーションに応用する事により、HPLC分析の効率が向上する手法となる事を示した。特に、2次元LCでは、マルチハートカットシステムや1次元目/2次元目間の移動相の不適合性をオンラインで緩和するバルブシステムにより、2次元LCの利用範囲が広がる事を立証した。又、PDA検出器のリニアリティーレンジを大きく拡大する手法や、HPLCシステムのエミュレーション技術を用いて異なる機種間でのメソッド移管を容易にする手法等が、HPLC分析の効率化と信頼性向上に貢献する事を具体的に示した。

 この様に、熊谷氏は高機能化されたHPLCシステムを例会等で数多く紹介し、これらの手法が分析ラボの効率化に繋がる事をHPCLユーザーに広く浸透させた点は、LC懇の設立理念に沿う研究姿勢として高く評価された。これらの研究業績に加え、熊谷浩樹氏はLC懇の中核である運営委員として宿泊型研修会、研究発表会などの現地世話人を務める等、LC懇内での精力的な活動を通して多大な社会的貢献を果たしている実績も、CERIクロマトグラフィー分析賞授賞に相応しい人物と評価された。

液体クロマトグラフィー研究懇談会・委員長 中村 洋


 液体クロマトグラフィー(LC)研究懇談会は、2020年度のCERIクロマトグラフィー分析賞受賞候補者の推薦を受け付けております。
 LC研究懇談会会員で、標記候補者の推薦を希望される方は、下記の規程(抜粋)を参照のうえ、推薦書類提出先にお申し出ください。

第1条
本賞は、LCを利用した研究分野で優秀な研究成果を挙げた者を対象に、年1件以内に授与する。
第3条
受賞者の資格に年齢は問わないが、LC研究懇談会の会員であることが望ましい。また、受賞者の研究成果は、既印刷のもので、少なくともその一部が公益社団法人日本分析化学会の機関誌もしくは学術刊行物に掲載されたものであることを要する。
第7条
賞の授与は、LC & LC/MSテクノプラザにおいて行う。受賞者には、賞牌及び賞金(10万円)を授与する。

[注記]

1)提出書類
推薦者は、A4判用紙に横書きで記入した以下の4種類の書類(正各1通、副各11通)を
2020年8月末日までに下記提出先に送付する。
① 高校卒業以後の履歴書、②推薦理由書、③研究業績名およびその概要、④研究業績リスト:表題、全著者名(受賞候補者にアンダーライン)、雑誌名、巻数、掲載ページ数、掲載年をこの順に記載したもの、⑤その他、適当と思われる資料等を提出してもよい。
2)推薦書類提出先
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-26-2 五反田サンハイツ304号
LC研究懇談会 CERIクロマトグラフィー分析賞係
電話:03-3490-3351