(公社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会は、2018年度より「液体クロマトグラフィー科学遺産」の認定事業を開始し、3年目の本年は8月末日を期限として推薦公募を行った。期日までに提出された推薦書を基に、2020年液体クロマトグラフィー科学遺産認定委員会(9月9日)で審議した結果、清水克敏氏(株式会社日立ハイテクサイエンス)推薦の「835形日立高速アミノ酸分析計」(所有者:株式会社日立ハイテクサイエンス)を液体クロマトグラフィー科学遺産第3号として選出した。2020年度液体クロマトグラフィー研究懇談会第1回オンライン運営委員会(9月19日)及び同・第2回オンライン(メール)運営委員会(10月9日)において、認定委員会委員長より上申された上記結果を審議した結果、これを承認した。

  「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、その認定に関する規定第2条に、「日本における液体クロマトグラフィーの発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す」と定義されている。認定第3号となった「835形日立高速アミノ酸分析計」は、1977年に発売が開始され、下記に示す新技術、新機能により、我が国における代表的なアミノ酸分析計となった。

  1. 1962年に発売された日本初のアミノ酸分析計日立KLA-2形の遺伝子を受け継ぎつつ、コンパクトな床置き型にデザインを刷新した。
  2. 835形の開発・上市は1977年であり、世界中を騒がせた世に言うニューネッシーをサメの一種であると特定し、印象的なデビューを果たした。
  3. ステンレス鋼カラムを採用し、20 MPa級のHPLC方式高速アミノ酸分析計となった。
  4. ポストカラム誘導体化ニンヒドリン法の反応検出系を最適化する事により、KLA-2形の感度を1000倍向上させた。
  5. 競合製品とは異なるタイプの特色ある陽イオン交換樹脂を用いる事により、高速・高分離化を達成した(タンパク質加水分解物分析法で50分間を実現)。
  6. ワンカラムでの分析、溶離液タイムプログラムを磁気媒体に記録する等の革新性が高く評価され、アミノ酸分析計としての国内シェアは50 %を超えた。
  7. 最先端を目指す開発姿勢は、最新型のLA8080日立高速アミノ酸分析計AminoSAAYAにも継承されている。

 これらの先駆的な機能を有した「835形日立高速アミノ酸分析計」は日本も含め世界のHPLCの発展に多大な影響を与え、液体クロマトグラフィー科学遺産に値するものと認定された。

 なお、認定作業に当たったのは以下の11名である(◎印:委員長):
伊藤誠治(東ソー)、榎本幹司(栗田工業)、大塚克弘(ムラタ計測器サービス)、岡橋美貴子(病態解析研究所)、橘田 規(日本食品検査)、熊谷浩樹(アジレント・テクノロジー)、小林宣章(東洋合成工業)、小林宏資(信和化工)、竹澤正明(東レリサーチセンター)、◎中村 洋(東京理科大学)、三上博久(島津総合サービス)。

液体クロマトグラフィー研究懇談会・委員長 中村 洋


 LC研究懇談会会員で、LC科学遺産候補の推薦を希望される方は、下記の規程(抜粋)およびLC研究懇談会ホームページを参照のうえ、2020年8月末日までに推薦書類を提出先にお送りください。
 なお、認定が決定されたLC科学遺産については、第26回LC & LC/MS テクノプラザ(2021年1月を予定)において、当事者から申請内容の概要を発表若しくは展示していただきます。


第2条
「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、日本における液体クロマトグラフィー(LC)の発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す。
2 「液体クロマトグラフィー科学遺産」は、年度ごとに1件以内を認定する。
3 装置・器具類においては、その動作原理が日本初若しくはそれに準じたものであること、又はその性能が従来のものより格段に優れていることを要する。
4 技術・方法においては、従来のものより効率、再現性、操作性などが格段に優れていることを要する。


推薦書類
A4判用紙に横書きで記入した以下の書類(正各1通、副各11通)。
①推薦理由書、② LC科学遺産候補の名称とその概要、③ LC科学遺産所有者名、④その他、適当と思われる資料等。
提出先
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-26-2五反田西ハイツ304号
(公社)日本分析化学会 LC研究懇談会 LC科学遺産認定委員会
TEL:03-3490-3351