2020年度第2回オンライン(メール)運営委員会(10月8日-9日)において標記について協議した結果、味の素(株)所属の中山 聡氏(推薦者:宮野 博氏)に授賞する事を決定した。研究業績名は「規制下の生体試料分析におけるクロマトグラフィーの活用」である。中山氏の受賞対象となった研究業績の概要は、以下の通りである。

 同氏は、東京大学大学院薬学系研究科修士課程時代から一貫して分析化学研究に従事し、1994年に味の素(株)中央研究所に配属されて以来、約25年間にわたり、味の素㈱ R&Dの分析研究、特に、クロマトグラフィーを活用した業務に従事している。現在は、定量分析研究を主な業務とするグループのグループ長として、メタボロミクス研究、製品評価技術の開発等をリードしている。中山氏は、1990年代後半から約15年にわたり、生体試料中薬物濃度測定法開発の業務に従事し、当時、黎明期であったLC/MS/MSを積極的に活用し、薬物動態研究推進の立役者として活躍した。その間に得たクロマトグラフィー分析技術と分析法バリデーションに関する知見を活用し、製薬協や厚生労働省研究班活動に従事し、日本国内での規制下の生体試料分析(Regulated Bioanalysis)に関する議論の牽引者として知られる。

 例えば、2010年~2011年にかけての製薬協を代表しての講演、厚生労働省研究班としての活動などを通して、日本初のRegulated Bioanalysisのガイドライン「医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法のバリデーションに関するガイドライン(2013年7月)」制定に大きく寄与したことが挙げられる。キャリーオーバーやマトリックス効果の評価方法などをQ&Aに反映させるなどの活動は、クロマトグラフィーの専門家ならではの貢献と言える。その後も、ガイドライン内容の浸透、ガイドラインではカバーしきれない項目に関する研究を精力的に遂行している。

 2015年に創薬業務を離れた後も、当時の知見を活かして、血漿中アミノ酸濃度の精密定量による疾病のリスク診断などの業務に従事し、Regulated Bioanalysisの社会実装に貢献した。その取り組みは、論文や成書、液体クロマトグラフィー研究懇談会での講演などを通して積極的に公開されており、クロマトグラフィー研究の進展に大きく貢献した。

 このような活動内容は、まさに液体クロマトグラフィー努力賞に相応しく、また、今後もクロマトグラフィー研究の応用・発展の一翼を担うことが大きに期待される。以上の業績は、2021年液体クロマトグラフィー努力賞に値すると高く評価された。

液体クロマトグラフィー研究懇談会・委員長 中村 洋


 本賞は液体クロマトグラフィーに関する研究・技術が独創的であり、将来を期待される研究者・技術者が受賞の対象となります。適当な候補者がおられましたら、下記要領にてご推薦またはご応募ください。
 受賞者には第26回LC & LC/MSテクノプラザ(2021年1月を予定)にて受賞講演を行っていただきます。不明な点は下記にお問い合わせください。

受賞資格
本研究懇談会の個人会員で、2021年4月1日現在 で満50歳程度まで。
提出資料
①推薦書又は自薦書(A4判用紙1枚に簡単な履歴と受賞の対象となる研究題目)、②推薦理由書(A4判用紙を縦に使用し、1行45字、40行程度で業績説明と主要論文リストを合わせて3枚以内)、③説明資料(任意。特に重要な論文の別刷、その他審査の参考となる資料など)を下記応募先に電子メールで添付。
推薦・応募締切
2020年9月30日(水)
応募・問合せ先
(公社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会